矯正治療において歯の抜歯に抵抗を感じる方もいるでしょう。抜歯が必要な場合とそうでない場合があり、それぞれ利点と欠点が存在します。抜歯を避けることで見た目は改善されるかもしれませんが、噛み合わせが十分には改善されないこともあります。
抜歯が必要な理由
矯正で歯を抜く主な理由は、限られたスペースに歯を整然と配置するためです。歯並びの問題は、多くの場合、歯の数やサイズに対して顎の骨が小さいことに起因します。顎に収まらない歯が原因で歯並びが悪化する場合、抜歯してスペースを確保する方法が効果的です。
抜歯なしの矯正リスク
抜歯を行わずに無理に矯正をすると、元の歯並びに戻る「後戻り」や、口元のシルエットが不自然になるリスクがあります。
抜歯する歯
矯正時には、噛み合わせに影響が少ない歯を選んで抜歯します。一般的には、第一小臼歯または第二小臼歯が抜歯されます。これらの歯は、食べ物を噛み切る前歯や、他の歯への負担を分散する犬歯と比較して、機能的な影響が少ないためです。
抜歯にかかる費用
抜歯の費用は自由診療であり、通常は1本あたり5,000円から10,000円が目安です。ただし、親知らずが虫歯や歯周病を引き起こしている場合には、保険適用の可能性があります。
非抜歯矯正の可能性
抜歯を伴わない「非抜歯矯正」も可能です。歯並びの乱れが比較的軽度で、余分なスペースがある「すきっ歯」などの場合には、抜歯なしで矯正が行えることがあります。しかし、顎が小さく、歯の凹凸が大きい場合や、大きな「出っ歯」や「受け口」の症状がある場合は、歯を後退させる必要があるため、多くの場合で抜歯が必要です。
幼少期の矯正
子どもの時期に矯正を開始すると、抜歯なしで治療できる可能性が高まります。これは、子どもの顎骨が柔らかく、成長を促して永久歯がきれいに並ぶ土台を作ることができるためです。また、早期に治療を開始することで、矯正の痛みが少なく、悪い癖を改善することで全体的な口の健康が向上します。